長野医療技術専門学校
教務部長中澤 住夫
ここ数年、療法士を養成する学校が増え、理学療法士(PT)も作業療法士(OT)も急増しています。国家試験の合格者総数は理学療法士10万人、作業療法士6万人を超えていますが、求人も増えているため、勢いはまだ続きそうです。そこで重要になってくるのは、PT・OT の「質」です。
近ごろ「勉強の仕方がわからない」という学生が増えています。どこを覚えて良いかわからないというのです。高校までの勉強は、覚えさえすれば良い成績がとれたでしょう。しかしこれからはそれが通用しません。PT・OT の学ぶべき知識の範囲は広く、「ここだけ理解しておけば大丈夫」というものはありません。なぜなら、PT・OT の仕事には「正解」がないのです。患者さんを主体的に評価して、考え、患者さんにとってのベストを探りながら進めていく仕事なので、自ら問題を認識し、考えて実行する力が不可欠です。
さまざまな学生が入学する中で、当校では授業が過密になり過ぎないようカリキュラムを見直したり、授業外でも教員が生徒にふれ合う時間を増やすなど、さまざまなトライをしています。授業内容もより学生に伝わりやすいよう、個々に工夫をしています。しかし「わかりやすさ」は受け入れられやすい一方で「限られたことを覚える」しかできない学生を増やしてしまう危険性もあります。教育はリハビリに似ています。何でも「やってあげれば良くなる」ものではなく「自分で乗り越えられるように、手助けする」ことが重要です。当校の教員は教育学を学んでいるわけではありませんが、みな熱心さと経験を持つベテラン陣ばかり。「臨床家」ですから、実際に考えてやってみて、常に結果を見ながら次の方法を考えます。最終的には学生が「自分で考え、解決できる」よう、そして「学び続けることができる」よう育てていきたいと思います。
オープンキャンパスでは模擬授業を行うとともに、入学前指導として2日間にわたって「学び方」など入学後の心構えを知る機会を設けています。「覚える」だけの勉強でなく「使える知識を学ぶ」勉強の仕方を身につけ、良い療法士になるための充実した4年間を過ごして欲しいと思います。