臨床現場で生まれた「問い」を出発点に、評価法の開発から介入効果の検証、エビデンスの統合まで一貫した研究を行っています。
めまい・平衡障害は日常生活の質を大きく低下させ、転倒リスクを高めます。当研究室では、前庭障害患者の平衡機能・歩行動揺性を定量的に評価する手法の開発と、効果的な前庭リハビリテーションの確立に取り組んでいます。
近年は、スマートフォンを用いたバーチャルリアリティ(VR)による自覚的視性垂直位(SVV)測定システムの開発・検証や、ウェブビデオを用いた個別化前庭リハビリテーションのランダム化比較試験など、テクノロジーを活用した評価・介入研究を進めています。持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)に対する前庭リハビリテーションの効果検証、前庭障害患者のフレイル・サルコペニアに関する疫学研究にも取り組んでいます。
日本めまい平衡医学会「前庭リハビリテーションガイドライン」作成WGへの参画など、研究成果の臨床実装・普及活動も行っています。
脳卒中後の歩行障害と転倒は、患者さんの自立した生活を妨げる大きな課題です。当研究室では、歩行評価に基づく転倒予測システムの構築や、転倒自己効力感に関連する身体的・心理的要因の解明など、脳卒中後の歩行再建と転倒予防をテーマに研究しています。
視運動刺激に対する姿勢制御応答の解析など、脳卒中患者の平衡機能の特性を明らかにする実験的研究にも取り組んでいます。また、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の歩行能力喪失に影響する要因の検討など、脳卒中以外の神経疾患へも対象を広げています。
日本神経理学療法学会タスクフォース(脳卒中歩行障害班)の活動を通じて、臨床現場に役立つ知見の発信にも努めています。
個々の研究成果を臨床で使える「確かなエビデンス」へと磨き上げるために、システマティックレビュー・メタアナリシス、計量書誌学的分析、大規模データベース解析などの手法を用いた研究を行っています。
前庭リハビリテーションや脳卒中リハビリテーションに加え、心不全患者への教育介入、AIを用いた画像診断の診断精度、高齢者の摂食嚥下障害と日常生活動作など、リハビリテーション医療に関わる幅広いテーマのエビデンス統合に、国内外の研究者と共同で取り組んでいます。