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生涯学習講座

令和2年度 冬の生涯学習講座のご報告

2020年2月1日(土)、長野県保健医療大学にて冬の生涯学習講座が開催されました。
今回の講座は、合同会社TRY&TRIの中村翔先生を講師としてお迎えし、「膝関節疾患に対する臨床推論~知識技術をどう活かすか~」をテーマにご講演していただきました。

 

中村翔先生は、長野県安曇野市の出身で国際医学専門学校理学療法学科卒業後、医療法人尾張健友会千秋病院、宮本整形外科クリニック、一般社団法人Re Smileを経て、現在は合同会社TRY&TRIで活躍されています。また、神谷内科整形外科の非常勤やNPO法人D-Projectにおいてもご活躍されています。日本理学療法士会認定の運動器認定理学療法士、NPO法人オーソティックスソサエティーにてフットケアトレーナー等の資格もお持ちであり、多数の論文発表、学会発表もされております。また、書籍運動療法の「なぜ?」がわかるの超音波解剖の動画編集担当や書籍運動機能障害の「なぜ?」がわかる 評価戦略の共著もされております。

 

 

今回の講座では、中村先生が実習で来る学生や若手を指導する中でよくつまずいていたポイントがどういった所なのか、また5年目以上の方が実習生を指導する際にも同じような所でつまずいたときに、どのように考えていけばいいのか伝えられるようになってもらいたいという事を中心にお話いただきました。
講座の内容に関しては、臨床推論(Clinical Reasoning)に沿って①「対象者の訴え」、②「病態の推測」、③「適切な検査方法」、④「適切な介入」について中村先生が担当されていた変形性膝関節症の1症例に照らし合わせ実技を交えながら説明していただきました。

 

 

①「対象者の訴え」については、学生がつまずいた時に説明する問診のコツについて3つお話いただきました。1つ目は「5W1H」。いつから痛くなって?どこが痛い?等5W1Hに当てはめて整理してあげることが大事で、この情報が漏れていると進めていく中でつまずいてしまう。2つ目が「Closed question&Open question」。相手が答えられるような質問の仕方をうまく組み合わせていく事が大事。3つ目が「mind」。患者様の話を聞いてあげて全部出すだけでもすっきりする場合もある。「面倒くさいな」等思っているとその雰囲気が出たりしてしまう為、患者様に対する取り組む姿勢も大切だと説明していただきました。
②「病態の推測」では、「5W1H」で聞いた情報を整理して問診から想定される病態を考える。そして病態を推測するために更に絞っていく作業として③「適切な検査方法」を行い、統合と解釈をしていくということでした。ここで重要な点として、評価は1つの検査だけでわかることはあまりなく、複数の検査を組み合わせて病態を推察していく事が必要という事でした。また、従来の学校教育では「疾患」に対する評価を行ってきましたが、私たちが見ているのは目の前にいる患者様で、その「患者様の症状」に対する評価をすることが大事だと教えていただきました。
④「適切な介入」についても③「適切な検査方法」と同様で目の前の患者様に合った、症状を変えるためのトレーニングをしていかなければいけないという事でした。
実技は実際に担当した症例に対して実際中村先生が行った治療内容について、治療を行う上で必要な解剖学的、運動学的な基本的な部分からわかりやすく説明していただき、更に治療すると何が変わるのかを画像や動画、エコー動画を用いて教えていただきました。
前述してきたことですが、講義の中で一番大事にして欲しいと言っていた事は「目の前の患者様を見て治療する事」であり、これからはそういう人材が求められる時代になってくるという事でした。
今回の研修で日々自分の患者様に対する向き合い方や治療までの考え方、また実習で来る学生、新人への伝え方等改めて考えるきっかけになりました。今後の臨床でこの研修を生かしていけるように日々頑張っていきたいと思います。
以上、研修会のご報告とさせて頂きます。ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

 

 

桃李会 広報局