令和4年度 夏の生涯学習講座のご報告
2022年8月28日(日)、夏の生涯学習講座がZOOMによるLIVE配信で開催されました。
今回のテーマは、「痙縮治療にどう向き合うか 〜脳卒中各ステージでの関わり方〜」について医療法人公生会竹重病院 回復期リハビリテーション専従医の浅野昌宏先生にご講演いただきました。
浅野昌宏先生は、1997年信州大学医学部医学科をご卒業後、信州大学医学部付属病院に従事されます。2000年より東北大学医学部にて脳神経内科医学研究科に所属され、病態神経医学分野を専攻されました。2009年より鹿教湯三才山リハビリテーションセンターリハビリテーション科に所属、2013年にはリハ医学会専門医の資格を取得されました。2014年には北アルプス医療センターあずみ病院リハビリテーション部長、現在は医療法人公生会竹重病院リハビリテーション部長としてご活躍されています。
今回の講座では、1.脳卒中後の痙縮 2.痙縮の機序について 3.積極的痙縮治療の前になすべき治療 4.ボツリヌス毒素療法による痙縮治療 5.痙縮に対する併⽤療法を中心に、基本的な痙縮の病態生理を始めとして、痙縮治療におけるガイドラインや論文の知見、急性期から生活期までのステージごとのリハビリ介入について、そして痙縮の社会的背景についてもご講演いただきました。
脳卒中後の痙縮は発症後3か月で2割以上、6か月で4割以上の患者が有するといわれているそうです。⻑野県に置き換えてみると、脳卒中患者は34000⼈以上とされ、その4割である痙縮患者は14000⼈以上となります。しかし実際には、急性期・回復期を過ぎた慢性期の中では、痙縮治療に到達できていない患者さんが把握できている以上に数多くいると考えられるようです。
私の勤務している病院では、残念ながらボツリヌス毒素療法を実施していません。多くの病院でも同様であると思います。しかし浅野先生は、各施設によって出来る出来ないは多々あるだろうが、痙縮を治療につなげることが大切であるとお話しがありました。そのためには、関わっている医療従事者に痙縮についての知識があるか、また痙縮があることでADL・QOLが低下していること・生活に不具合が生じていることを理解しているかが重要です。これらは痙縮やボツリヌス毒素療法に限らず、多くの分野の疾病や機能障害を持った患者さんに当てはまるのではないでしょうか。
各施設に違いはあっても、私たちが行動できることは数多くあり、その先で生活の中で不具合を持った患者さんに選択肢を増やし、困っていることに対して治療ができる可能性があるということを医療者・患者さん自身、その周囲で関わる人々に知っていただくだけでも、今からできる大きな一歩になるのではないかと思いました。
以上、研修会のご報告とさせていただきます。ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。