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生涯学習講座

平成29年度桃李会総会と夏の生涯学習講座のご報告

平成29年8月26日(土)、長野保健医療大学にて桃李会総会と夏の生涯学習講座が開催されました。参加人数は、全体で99名でした。
今回の講演会は大和ハウス工業株式会社 ヒューマン・ロボット事業推進部 ロボット事業推進室に勤務されている岩隈彩先生(理学療法士)を講師としてお迎えし、「職域拡大に向けたリハビリテーション職の役割」をテーマにご講演いただきました。

 

 

岩隈先生は、国際医療福祉大学 保健学部 理学療法学科を卒業後、大学病院、訪問看護ステーションに勤務された後、2012年に現在の大和ハウス工業株式会社に入社されました。
今回の講演では
・「大和ハウスについての紹介」
・「現在の業務内容について」
・「リハビリテーション職について」
・「職域拡大について」
の4点を中心にお話いただきました。

 

岩隈先生は現在、大和ハウス工業内でロボット事業に従事されており、主に介護福祉用ロボットの販売をされています。ロボット事業と聞くと未来の話のように聞こえますが、現在介護現場は人手不足が深刻化しており、2025年問題を受け、政府も2018年からは介護報酬にロボット導入施設に「報酬加算」を組み込む方針を明らかにしているとのことでした。そうした社会のニーズも先取りしながら、病院という限られた環境ではなく、理学療法士が社会へ出て働く必要性と、一般企業で一社員として営業活動をしていく難しさを教えていただきました。中でも営業活動においては、ただロボットのメリットを伝えるだけでなく、現場視点でのメリット・デメリットを客観的に提示し、デメリットに対する改善策を提案しながら現場のニーズに合わせて商品の提供を行えるという点が、今まで臨床経験で蓄積してきた専門知識を生かす大きなポイントになるとのことでした。

 

 

リハビリテーション職の就職先は、現在のところ病院,施設が大半を占めている状況ですが、岩隈先生は企業に就職したことで医療・福祉の分野は社会全体からみるとごく一部の分野でしかないということに気づいたとのことでした。また、就職先では、“マッサージ師と間違えられる”といった“理学療法士の認知度の低さ”にも改めて気付いたそうです。まだまだ理学療法士や作業療法士などのリハビリテーション職の認知度は低く、一般企業への進出していくために受け皿を作っていくことは高い壁を感じますが、大和ハウスでは岩隈先生を含め3名の理学療法士が所属しているとのことです。リハビリテーション職が社会の中でさらに必要とされるよう私たち自身も努力し、現場から社会へ専門職の必要性を訴えかけていければと感じます。

 

職域拡大については、まだまだリハビリテーション職の認知度を上げていく必要性を感じますが、企業で働くことでの専門性(強み)が多くあることもお話し下さいました。今後リハビリテーションの職域拡大にむけて

1.リハビリテーション職の専門性を知ること

2.社会の仕組み、全体の流れを知ること

3.リハビリテーション職を知ってもらう努力をすること

4.リハビリテーション職としての活動の場を広げること

が重要になってくるようです。

 

今回の講演を聞くことで「リハビリテーション職の職域拡大の必要性と可能性」を感じると共に、「リハビリテーション職の認知度の低さ」も知ることができました。私自身、リハビリテーションの職域は病院・施設しかないという固定概念がありましたが、岩隈先生から「病院,施設というのは社会からするとごく一部です」という言葉をいただき、今までの視点を変えるとても貴重な機会となりました。

ご講演いただきました岩隈先生におかれましては、今後益々のご活躍を祈念いたします。貴重なご講演、ありがとうございました。

 

以上,講演会のご報告とさせていただきます。ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。