平成29年度冬の生涯学習講座のご報告
平成29年度 冬の生涯学習講座のご報告
平成30年2月3日(土)、長野保健医療大学にて冬の生涯学習講座が開催されました。
今回の講座は健康科学大学名誉教授、専門作業療法士(認知症)の守口恭子先生を講師としてお迎えし、「認知症のある人への基本的な関わり方」をテーマにご講演いただきました。
守口先生は、国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院作業療法学科を卒業後、長谷川病院(老人保健施設枚岡の里 高齢者在宅サービスセンターシャローム南沢)に勤務し、精神科作業療法、老年期作業療法の分野で働かれていました。1996年からは、北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科作業療法学専攻専任講師として勤務され、2001年、筑波大学大学院教育研究科修士課程を経て、2003年から10年以上の間、健康科学大学作業療法学科で教授として勤務されていました。その後、2015年3月、同大学を定年退職し、現在は名誉教授として、ご活躍されています。
今回の講演では
・「認知症のある“人”を理解すること」
・「認知症について」
・「認知症のある人に対する関わり方」
・「認知症のある人に保たれている能力」
の4点を中心にお話いただきました。
現在、日本では高齢化が進む中で認知症のある人も年々増加しています。私自身も病院で働いていて、認知症のある人が多い印象を受けます。なかなかリハビリに取り組んでいただけない方もいます。その時に、どのように関わればリハビリに取り組んでくれるのだろうと悩む事があります。
守口先生は、認知症という病気より、その人を理解するほうが大事とおっしゃられていました。認知症のある人は生活者としての経験は豊かであり、長い人生で行ってきた作業や生活行為は蓄積されているため、生活歴を具体的に知る事で治療、訓練に繋げる事ができるそうです。
講演で、最も印象に残った言葉は、認知症のある人は「いまを生きている」という言葉でした。相手のペースで、ゆっくり関わると「いま」に導くことにつながり、その関わりの中で楽しいこと、嬉しいことを行い、プラスの感情を引き出し、信頼関係を作ることができるとのことでした。また、認知症の人の主体性を大切に、丁寧に関わることで、薬物を使わなくても認知症の重度化を防ぎ、安心して暮らすことができる事を実際の症例から教えていただきました。今回の講演会で学んだことを活かして、認知症のある人が「その人らしく」人生を歩んでいかれるように関わっていきたいと思います。
以上、講演会のご報告とさせていただきます。ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。
桃李会 広報局