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生涯学習講座

2019年度 夏の生涯学習講座のご報告

2019 年度 夏の生涯学習講座のご報告

 

2019 年 8 月 24 日(土)、長野保健医療大学にて夏の生涯学習講座が開催されました。
今回の講座は長野赤十字病院脳神経救急センター長兼神経内科部、日本認知症学会専門医である矢彦沢裕之先生を講師としてお迎えし、「認知症の解剖学的知識からセラピストの役割まで」をテーマにご講演いただきました。

 

矢彦沢裕之先生は長野県塩尻市出身で信州大学医学部を卒業され、自治医科大学付属病院、都立病院などで研修後、神経内科医を志し信州大学医学部第三内科に入局。ノースウェスタン大学(米国シカゴ)研究員、小諸厚生総合病院(現浅間南麓こもろ医療センター)神経内科医長を経て、2001 年より長野赤十字病院で勤務されています。また、日本神経学会専門医、日本内科学会認定内科医、総合内科専門医、日本脳卒中学会認定脳卒中専門医としてもご活躍されております。

 

 

今回の講演では
・主な認知症の特徴
・認知症の症状と治療
・認知症のケア
・認知症とリハビリテーション
についてお話いただきました。

 

現在、国民 4 人に 1 人が 65 歳以上という超高齢社会に突入した日本において、介護を必要とする要介護高齢者の数も増加し、高齢者の 5 人に 1 人が認知症という時代は目の前に迫りつつあるといわれます。また、平均寿命の延伸により認知症患者数はさらに増加していくことが予想され、関わり方やケアを今後いかに担っていくかが社会問題となっています。自身の職場でも認知症の方との関わりは多く、取り組み方に悩むことが多くあります。
矢彦沢先生は、「認知症とは不安を起こす病気、不安になる病気である」とお話しされました。認知症の中核症状の進行にともなって低下する記憶力や判断力の中で、不安な状況の打開を図るための行動が周囲に理解されず、結果軋轢を生むことでストレスが生まれます。そして不安状態が進行し、さらなる周辺症状が誘発されます。認知症の治療として、中核症状を軽減させる薬剤があるものの、認知症は治らないとされています。
しかし、私たちの関わりの中で、認知症の人の気持ちを理解し、感じるストレスを取り除いてあげることが安心となり周辺症状の緩和につながります。その具体的な方法の 1 つとしてとして、「ユマニチュード」の紹介がありました。このユマニチュードとは、究極のやさしさの技法で介護を上手に行うための技術です。「見る」「話す」「触れる」「立つことの援助」を4つの柱とするケアであり、あなたのことを大切に思っていることを伝えるための方法です。
「見る・話す・触れる」といった、人ならではの包括的なコミュニケーションと、自己の尊厳を実感できる「立つことの援助」が、認知症によって失いかけた尊厳を取り戻すことにつながるということでした。
私たちの日々の関わりの中で、まずは自身のわずかな変化や行動から認知症の方の不安を取り除いてあげることが安心した生活につながるのだと思います。今までの自分の関わり方を見返し、この講演会で学んだことを活かして認知症の方と関わっていけたらと思います。

 

 

以上、講演会のご報告とさせていただきます。ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

 

桃李会 広報局