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生涯学習講座

令和5年度 夏の生涯学習講座のご報告

2023年8月27日(日)、夏の生涯学習講座がzoomライブ配信と来場型で開催されました。

今回の講座は「認知症を持つ高齢者との関わりについて〜アルツハイマー病に伴うBPSDの対応を中心に〜」というテーマで、JA長野厚生連鹿教湯三才山リハビリテーションセンター三才山病院 通所リハビリテーション石原暢彰先生にご講演いただきました。

今回の講座の内容は、
1.齢を重ねるという事〜老化について〜
2.BPSDについて
3.BPSDへの対応〜留意しておく事〜
4.BPSDへの対応〜事例を通して〜
でした。

まず「老化について」では、年を重ねると筋力低下や姿勢の変化、バイタルサインの変化などの身体的な変化に加え、健康に対する不安、定年退職などによる社会的役割の変化、人と交流する機会が減少することで孤立感を感じやすくなるなど、精神・心理的にも変化が生じやすく、高齢者の多くは喪失体験をしていることを押さえておくことが重要だと教えていただきました。

次に「BPSDについて」では、みられる症状が1つではなく、それぞれが複雑に絡み合いながら出現に影響を及ぼすという話を伺いました。特に不調のある方がそれを伝えることができない際にBPSDに繋がることがあるという話が印象的でした。

「BPSDの対応で留意しておく事について」では、本人の元々の性格に認知症の症状が加わることで、BPSDとしての行動が形成されることを理解しておく重要性を教えていただきました。例えば、今までは人とつながりが少なかった人が外に出て過ごしたり、日中は活動せずにダラダラと過ごしていた人が日課に合わせて行動したりといった生活パターンを変える事は負担になるため、目の前の患者さんが、元々どんな性格だったのか、どんな生活(パターン)をしていたのかを押さえておくことが安全で快適に過ごすヒントにつながる事を学びました。また、石原先生が大事にしているポイントとして、BPSDとして現れる行動や言動は、その人にとって意味のある作業であると捉え、なぜその行動(作業)をするのか、その行動(作業)はどんな意味があるのかを考えることが重要だと学ばせていただきました。

最後に「事例を通して」では、なぜその行動が起こったのか心理的要因、状況的要因を踏まえた分析を石原先生からご説明いただき、その後実際に行った対応についてお話しいただくことで、原因を丁寧に考えることの重要性や具体的な対応方法を知ることができました。

私が講座の中で特に印象に残っていることは、目の前に現れる行動は本人にとって意味のある作業であるという内容です。私たちはBPSDの症状が現れると、どうしても「困った行動」「どうにかして止めさせてあげないと」といった負の感情やマイナスな思考になりがちだと思います。しかし、その行動も本人にとっては意味のある作業かもしれないと考え、「なぜ?」と立ち止まって考えてみたり、もしかしたら昔の生活と何か関連しているかも!?という対象者の視点で考えたりすることが、個別性のある対応につながると感じました。今回教わった考え方や視点を明日から実践し、よりよい対応に繋げていきたいと思いました。

以上、簡単ではありますが今回の生涯学習講座の報告とさせていただきます。ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。