向き合うことで、
本当に必要なリハビリが
見えてきます。
北アルプス医療センター あづみ病院肩関節治療センター 塚田 郁 さん
理学療法学科11期生 (2015年3月卒)
長野県内でも珍しい肩関節専門のセンターで、入院・外来両方の患者さんを担当しています。肩のスジが切れる腱板断裂など手術翌日の患者さんも多く、まだ痛みが強くて気持ちが落ち込んでいる患者さんに、「なぜ今やるのか」をきちんと説明し、納得して取り組んでもらえるよう精神的なサポートにも力を入れています。
当センターは一度受け持った患者さんは最後まで一人で担当します。責任は大きく、効果が出ずに悩むこともありますが、患者さんにしっかり向き合うことで本当に必要なリハビリが見えてきますし、経過を全て自分の目で追えるのでやりがいも大きいです。リハビリを終えた患者さんからお手紙をいただくこともあり、その後痛みを気にせず生活できていると聞くと、何より嬉しいですね。今出産を控えていますが、育休後、またここに戻ってくるのが楽しみです。
学生時代、先生、友達、実習など様々な出会いを通して、どんなPTになりたいか少しずつ見えてきたことが今の私の土台となっています。学生の皆さんにも、一つ一つの出会いから多くを吸収し、将来の糧にしていってほしいです。
脳卒中などで入院後、病状が安定してきた回復期の患者さんを主に担当し、退院後の生活に向けた体の機能回復を目指しています。ご自宅の調査もして実際の生活を考慮したリハビリを行うのですが、患者さんの目線・気持ちで考えなければ意味がありません。お話にしっかり耳を傾け、ご家族も巻き込んで情報収集するなど「患者さんファースト」のコミュニケーションを大切にしています。何気ない会話も信頼関係を作るうえで欠かせません。これから続く患者さんの人生の一部に携わっている…その責任をしっかり果たしていきたいです。
就職して7年になりますが、実は学生の時に実習でこちらに来たんです。自分なりに考え学んだことを実践しようと臨みましたが、患者さんに体を動かしてもらおうにもうまく伝わらず、何もできなかった。本当にくやしかったし、その時の先輩の姿を見て「患者さんの思い」をいかに引き出し、寄り添えるかが大事だと気づかされました。4年間勉強は大変でしたが、あきらめず頑張ることで精神面でも成長できたと思います。
仕事をしてみてわかったのは、あんなに勉強したけれど学生の時に学んだのは氷山の一角で、数ある例の一つだったということ。実際の患者さんは性格も経験も生活リズムも違うため、一人ひとりに合わせて向き合う必要があります。
初めての上司から「外に出て学べ」という助言をもらいました。そこで、東京都内で開催されていた認知行動療法の勉強会に、週1回4カ月間、自費で通いました。仕事が終わってから高速バスでの移動は大変でしたが、グループワーク中心の勉強会で、他の病院、他の県から来た人の違う視点や意見から、発見が多くありました。
それから、自分の趣味を増やしました。釣り、山登り、マラソン、カメラ…一生懸命やってみると、知識や経験だけでなく、そこで出会った人ともコミュニケーションが広がります。すると病院でも自然に会話が広がり、患者さんから話を引き出すことができるようになってきました。
作業療法士は、経験がものをいう仕事です。勉強だけでなく、バイトでも趣味でも遊びでも何でも、人より多く経験することが必要だと思いますね。
実習で行った小児の養護施設で、「訓練」ではなく「遊び」を通して子どもの力を引き出す―という考え方に出合って感銘を受け、小児分野に進むことを決めました。この施設には、脳性麻痺で体に障害のある子ども、自閉症やADHDなど発達障害の子どもなどが通っており、私は自立に向けた療育プログラムのプランナーの立場です。「この障害だから」とひとくくりにするのではなく、「子どもの今の状態」に目を向けながらなるべく自然な形で取り組めるプログラムを考えています。私も子どもたちと接しますが、毎日接するのは親御さんや担任の先生方。「こんなことができるようなった」「家族で念願の遊園地に行けた」など嬉しい報告をもらうことも多く、成長の喜びを親御さんや先生方と共有できるのは大きなやりがいです。試行錯誤の毎日ですが、予想以上に成長してくれる子どもたちの姿に驚かされてばかりです。
お世話になった先生方には、実は今でも何かと相談しています(笑)。就職後に出会った学校の先輩など新たなつながりもできて、たくさんの尊敬する背中に、「私も頑張ろう!」と力をもらっています。