患者さんとじっくり
向き合う日々です。
AR-Ex スポーツメディカルグループ 長野整形外科クリニック 片桐 章徳 さん
理学療法学専攻 (2020年3月卒)
外来の整形外科に勤務。患者さんが今の生活を維持できるよう、リハビリを通じて身体機能回復のお手伝いをしています。実は、前職は銀行員。けがや事故が原因で生計を立てられなくなってしまった方に融資をする機会が多くありました。そして、身体が動かないことによって職を失ったり、そのほかの病状が急速に悪化して弱ってしまったり、最悪の場合死に至ってしまう。そんな姿を間近に見てきました。調子が悪い部分をそのままにして入院を余儀なくされる前に、リハビリで少しでも身体を良くできれば―そんな思いが強くなり、「理学療法士」の道を志すようになりました。
たとえ時間がかかったとしても、「この人に診てもらえてよかった」と思ってもらえるような理学療法士でありたいと思います。現在の患者さんの状態を評価するだけでなく、「ほかに痛いところはないか」「日常生活でのストレスや困りごとはないか」など傾聴を重ね、じっくりと向き合う。その結果、「どこの病院に行っても良くならなかった」という方の治療が上手くいくと、特にやりがいを感じます。
銀行員を3年間続けた後、社会人学生として入学しました。各学年にだいたい1名ずつ社会人学生がいたように思います。同級生は7歳年下でしたがすぐに打ち解け、楽しい学生生活でした。学生同士で協力する場面も多く、「みんなで」勉強している感覚が強かったです。今でも当時のクラスメイトとは仲が良く、ご飯を食べに行ったり、スノーボードをしたりと集まる機会も多いです。
「相手にするのは“病体”ではなく“人”ということを忘れてはいけないよ」。先生から言われたこの言葉を今でも大切に、仕事に取り組んでいます。例えば、症状が出ていないのに「実はヘルニアだった」という患者さんがいるくらい、机の上で学んだ理論が当てはまらないことがほとんど。だからこそ病状のイレギュラーを受け入れつつ、「家は町中にあるのか?山奥なのか?」「畑仕事をするのか?家にいることが多いのか?」など、その患者さん個人の生活背景までしっかりと寄り添ってサポートを続けています。
また、「触診」の授業で学んだ表面的に触れるのが難しい、奥の方の筋肉を触るための技術は、今も現場で生きています。筋肉のつき方も人それぞれですから。
外来のクリニックを選んだのは、実習中に出会った装具士さんがきっかけでした。「入院が必要なほど悪化しないよう、リハビリで身体を回復させたい」という思いを語ったところ、「外来の整形外科」の存在を教えてもらったんです。中でも長野整形外科クリニックは活気があり、何より理学療法士が信頼されている環境であることが魅力的でした。院長も「治すのは理学療法士だ」と考えてくださっているので、努力次第で自分なりの仕事ができると思います。
「身体の調子が悪いなら、長野整形の片桐に診てもらうと良いよ」という声が増えるよう、さらに努力したいと思います。最近指名していただけることも増えてきて、それがモチベーションになっているんです。医療の世界では研究成果を発表して知名度を上げるのが一般的ですが、私は目の前の患者さんに全力で向き合うことで選んでいただける存在になりたいです。
「なぜ理学療法士になりたいのか」を忘れないように、何度も思い浮かべましょう。大変なことも多いと思いますが、ただ「つらい、つらい」と苦しむだけだと「何のために勉強しているのか」分からなくなってしまいます。自分のゴールをしっかりと認識し、目標のために努力を続けましょう。
もともとバスケをしていたこともあり、「けがを治す仕事」に興味がありました。そしてその中でも、手工芸などを使って「楽しくリハビリができる」作業療法士を目指すようになりました。現在は「外科」が有名な丸の内病院で、入院・外来の患者さんを担当。入職当時は内科に配属されたのですが、異動の希望が通り、1年前から肩から手指までの疾患を専門とする「手外科」で働いています。
患者さんとの「信頼関係」を築くことです。医師や看護師に話さない「本音」を聞くことができたり、患者さんの「やる気」を引き出すことができるのも作業療法士の役目だと思っています。特に初回は会話量を増やして、患者さんの話を「受け止める」ことを意識しています。就職してからは、医師や看護師、ソーシャルワーカーとの連携が大切な場面も多くあるので、リハビリの時にしかこぼさないような情報も共有できるよう日々アンテナを張っています。
規模が小さく、先生も学生同士も、みんなの距離が近い学校だったと思います。イベントの時にはクラスで服の色を揃えて参加したり、先生とも一緒に写真を撮ったりした思い出があります。困ったことがあったときには抱え込むことなく、気軽に相談できる環境でもありました。
実習期間が長く、回数も多かったため、さまざまな施設や診療科を回れたのが良かったです。介護老人保健施設や精神科、外科などさまざまな場所で実習させていただけたので、4年間の中で「本当に自分がやりたいこと」を考え、就活に生かすことができました。
患者さんが「できるようになったこと」はどんな些細なことでも「褒める」ということです。リハビリ中は「まだできないこと」にばかり意識を向けてしまいがちで、患者さんの意欲を削いでしまうことも。特に外来の患者さんは「家での自主トレ」も重要なため、やる気を出してもらえるような声掛けを意識するようになりました。実際に患者さんのことを褒め続けていたら、今までは挑戦してこなかった動作に自ら取り組んでくれるようになり、この学びの重要性を改めて感じました。
授業の中で特に楽しかったのは「陶芸」や「編み物」の体験です。作品を作り上げるためにどこの筋肉を使っているのか、作業をすることでどんな気持ちになるのか、実際にその作業を行いながら自分自身を分析しました。患者さんのストレス発散を促したい時には「革細工への刻印」や「タイルを割ったモザイクタイル作り」をしてもらうなど、当時の分析は今でも役に立っています。
現在の就職先は2年時の実習先でもありました。手外科が有名だったことと、雰囲気が良かったことが決め手となり、第一志望に。4年生の秋ごろ就職が決まりました。試験は実習期間と重なっていたので「超絶ハード」(笑)。理学療法学専攻の先輩が多く在籍していたので頼りにさせていただき、実習と両立させながらも乗り越えることができました。
ボタンを簡単に留めることができる器具や、靴下を履きやすくする器具など、上手く動かなくなってしまった手の支えとなる「自助具」の作成は、これから頑張っていきたいところです。インターネットに作り方が載っているものもありますが、設計から材料集め、組み立てまで自分で行う機会も多く、発想力や想像力が必要不可欠。患者さんそれぞれの希望に合うものが作れるようになりたいです。
学生のうちに、「もっと色んな人の話を聞いておけばよかった」と思っています。今でも職場の先輩からの意見やアドバイスはいただいていますが、学生にはそれ以上に幅広い意見を聞くチャンスがあります。先生や先輩、実習の指導者の方など、細かい部分までなんでも聞いて教えてもらえば、さらに自分の引き出しが増えるのではないでしょうか。
患者さんと「向き合う姿勢」です。そう思ったきっかけは、3年次の長期実習。学生には医療行為ができないので、看護師さんの後をついて、身体を拭いたり、お話ししたり、一緒に移動したりと、日々学生としてできる看護ケアを実践していました。「これでいいのかな」「ちゃんとできているかな」と不安でしたが、実習が終わるときに、患者さんが「ありがとう」と涙を流してくれました。看護は「直接的な医療行為」だけでなく、「患者さんに寄り添う気持ち」も大切なんだと身に染みて感じた瞬間でした。
大好きな祖母が亡くなったことをきっかけに、病気の早期発見やフレイル予防などに興味を持ち、職域の広い保健師を目指すようになりました。この学校を選んだのも、保健師課程があったから。1期生ということで、先輩方がいないことによる苦労はありましたが、手厚くサポートしてくれる先生と、明るく元気なクラスメイトに囲まれ、和やかな雰囲気で勉強することができました。
普段の授業から実習まで、とにかくグループで意見を出し合い協力する授業が多く、それがとても良かったと思っています。クラスメイトの意見を聞くことで、自分一人で考えるよりも、さらに広く深い意見にたどり着くことができました。最初はバラバラだったメンバーの意見が、ディスカッションを重ねるうちに一つにまとまっていくのが嬉しくもありました。ベッドメイキングや清拭をはじめとした技術練習も、お互いに気づいたことを共有し合うので、新たな視点が生まれてとても勉強になりました。
印象に残っているのは、理学療法学専攻や作業療法学専攻とグループで学ぶ「IPW演習」。各学科によって使う専門用語が違うので、最初の頃はコミュニケーションを取るにも一苦労でした。しかし課題を進める中で「相手に伝わるように話すこと」や「分からないことはその場で確認すること」など関わり方ひとつで双方の理解度をもっと上げられることに気づきました。病院に就職すると他職種との連携は欠かせませんし、大学生のうちに経験できてよかったと思います。
コロナ禍まっただ中ということもあり、医療現場での実習がなかなかできなかった4年間。知識や経験をしっかり積み、不安なく現場に入るためにも、「新人教育が充実している病院」に就職したいと思っていました。インターンシップを重ね、先生方の意見も参考にしながら、手厚い研修制度のある長野市民病院を第一志望に。先生に添削していただきながら書類作成を行い、4年生の4月に無事就職が決まりました。
今、病院への入院期間はどんどん短縮されており、病気や不調を抱えたまま自宅に戻る患者さんが多くいらっしゃいます。まずは研修で知識をしっかり吸収し、自分のものにできるよう頑張りたいと思いますが、いずれは「在宅医療」について深く学び、不安を抱える患者さんに向け、退院後も継続した看護や、患者さんの生活を見据えた関わりを持てるようにしていきたいです。
大学入学後も高校時代の学びは役に立つので、授業はしっかりと聞いておくことをおすすめします。特に生物!私自身、高校生の頃に「ホルモン」の分野など必死に勉強したので、大学でも「聞いたことがあるな」と思いながら授業を受けることができました。まったく知識がない状態より定着も早いですよ。受験のためだけでなく、その先のことも考えて、勉強は頑張りましょう。
母、祖母、いとこが看護師の医療家系。幼い頃からなんとなく、「看護師ってかっこいいな」と思っていましたが、小学3年生の頃に祖父が病気で亡くなったことがきっかけで、「看護師になって誰かを助けたい」と強く思うようになりました。現在の職種は保健師。「病気にならなければもっと長く一緒にいられた」―そんな思いを抱える人を減らすためにも、保健師として、病気の予防や早期発見のサポートができればと思っています。
患者さん一人一人の「その人らしさ」にしっかりと目を向けて、大切にできる看護がしたいと思っています。実習に行く前までは「この疾患=このケア」と単純に結びつけていましたが、さまざまな患者さんに会うたびに考えが変わっていきました。例えば同じ名前の疾患を持つAさんとBさんがいたとして、「全く同じケアをすればいい」という訳ではありません。「Aさんには大好きな趣味の話題でやる気を出してもらおう」「Bさんが今後望む生活を送るためには、こんなケアが必要だな」など、患者さんそれぞれの「思い」や「生きてきた背景」に心を寄せてケアを行うことが大切だと学びました。
1期生というだけあり、施設が新しくて、きれいで、使いやすいところがお気に入りでした。先輩がおらず心細かったものの、同期は優しくて前向きな人ばかり。みんなで励まし合いながら無事卒業できたのも良い思い出です。
やはり、この学校の特色ともいえる「IPW演習」が特に思い出に残っています。理学療法学専攻や作業療法学専攻など、さまざまな視点からの意見を聞くことで、事例に対する解像度がぐんと上がるのを感じます。
もともと自分の意見を口に出すのが得意でなく、最初の頃はグループワークが苦手だったのですが、「目標にたどり着くために、みんなで意見を出す」ことが4年間のうちに当たり前になったので、実習で行われるカンファレンスでも自ら挙手して発言できるようになりました。自分でも成長した部分だなと思います(笑)。
新卒採用で「看護師」や「助産師」を採る病院は多いのですが、新卒を1年目から「保健師」として採用する病院は、実はそう多くありません。現在の就職先である篠ノ井総合病院は、「保健師枠」での採用があったこと、そして「患者本位の医療の提供」という病院の理念に共感できたことが就職の決め手になりました。
試験に備え、まずは説明会や病棟見学が行われるインターンシップに参加。先輩からの情報は皆無だったので、同病院で働いている看護師の方々に試験内容などを聞き込み調査し、試験に備えました。
入職してからしばらくは研修が続きますが、一刻も早く役に立てるようしっかりと知識や技術を磨いていきたいと思います。そして自分が大切にしている「その人らしさ」を大切にした看護ができればと思います。
入学後は勉強量が大幅に増えるので、「自分の勉強スタイルを身につける」ことが大切です。テスト期間などは集中的に頑張れたりするものですが、国家試験になると「どこから手をつけていいか分からない」という状態になってしまうことも。集中するときは集中する、息抜きはしっかりする、友達と一緒に勉強してみるなど、自分なりにモチベーションを維持できる勉強方法を探してみてください。